インドの製薬産業

 

TRIPS協定前のインド事情イメージ画像⑫

インドに進出していた外資系製薬会社にとって最も懸念された特許法制度 は、1972年に施行された「1970年特許法」 でした。 1970年特許法が施行される以前の「1911年特許意匠法」 の下では、医薬品に含まれる新規化合物に対する特許である「物質 特許」 と医薬品の製造方法に対する特許である「製法特許」 の両方が保護の対象とされていた。しかし、1970年特許法 のもとでは、医薬品に対する物質特許は付与されず、製法特許のみが付与され るよう変更されました。そのため、ある企業が開発した新規化合物を、他の企 業が新たな独自の製法によって生産した場合、特許権の侵害とはみ なされなくなったいきさつがあります。 よって、1970年特許法の施行以降、インドの製薬会 社は国内法に一切違反せず、先進国の製薬会社が多額のコストを投じて 研究開発した新薬を模倣コピーすることができるようになったと言う訳です。 また、特許権者へのロイヤルティの支払いを条件として、その許諾なしに 政府または非特許権者が特許権を使用することができる権利である「強制実施 権」 の使用範囲は、1970年特許法において相当に大きいも のでした。 まさに、特許権者の承諾なしに、インドの製薬会社のやりたい放題だった訳です。

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TRIPS協定後の変化 と発展の制度的背景イメージ画像⑬

インドの製薬産業はいまだかつてない規模の制度改革の変動に見舞われてました。というのも、1995年の世界貿易機構(WTO)の発足以来、当初からの加盟国であったインドは、その体 制下で履行が要求される「知的財産権の貿易的側面に関する協定」 (Agreement on Trade-related Aspects of Intellectual Property Rights: 以下TRIPS協定)と整 合的な法制度を国内に整備し、特許を含む知的財産権の保護を強化することを要求されていた為です。TRIPS協定と既存の特許制度の間には極めて大きな 隔たりが存在したため、結果的には、新たな特許制度の導入をめぐって国内外 で激しい議論を呼ぶこととなりました。
1990年代以降に東アジ アやアフリカの途上国が、インドからの医薬品の輸出先として急速に台頭してきました。また、最近では、エイズの発症を抑制する抗レトロウィルス薬 の発展途上国への供給においても、インド製薬産業は重要な 役割を果たしていると言われています。
しかし、インド製薬産業の活動の範囲は、比較的規制の緩やかな発展途上国の医薬品市場 だけにとどまりません。販売に際しての厳格な承認手続き および製造施設の厳格な査察が課される先進国の医薬品市場においても、インドの製薬会社はジェネリック医薬品(後発医薬品)の販売を行い、大きな業績を挙げています。金額ベースで見た場合、 インドからの医薬品の輸出のうち40%近くは先進国の市場への輸出によって占め られていると言われています。
ですから、少なくともインドの大手製薬企業に限って言えば、その 製造技術および品質管理は規制の厳しい先進国の医薬品市場に参入可能なほど高い水準に達していると言えます。さらに、最近では、インドの大手製薬会社の活動は医 薬品の輸出だけにとどまらず、海外での現地法人の設立や外国企業の買収等まで広がっており、海外での生産・販売活動をより積極的に行おうとする インド製薬企業の躍進がさらに加速している状況です。

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TRIPS協定の導入とインド製薬産業イメージ画像⑭

WTO発足当初からの加盟国であったインドは、WTO体制下で履行が求めら れるTRIPS協定と整合的な法制度を国内に整備する必要に迫られてきました。しか し、TRIPSの特許に関する要求とインドの特許制度の間には、数多くの点で大変大きな隔たりがあり、必然的にイ ンドは既存の特許制度を大きく変更することを必要に迫られることとなりました。これを受け、 TRIPS協定の義務履行と特許法の改正をめぐって、インド国内外で激しい論争 が起こることとなったわけです。
TRIPSの義務履行と特許法の改正がそれほどまで に大きな議論を呼んだのは、インドの特許法が先進国側の特許権の保護を強化する方向に大きく変 更されることになるためでした。この議論に大きな影響を与えたのが、医薬品を対象とした「物質特許」の 導入という点でした。
2005年4月、インドはTRIPS協定と完全に整合的な特許制度の整備を正式 に採用することとなりました。

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インド製薬産業へのアウトソーシングと 知的財産権保護イメージ画像⑮

2005年よりWTOの知的財産権の貿易的側面に関する協定(TRIPS協定)と 整合的な物質特許制度が導入されたことを受けて、世界の大手製薬企業はイン ド企業に既存製品の委託生産を始めました。医薬品が物質特許によって保護さ れるため、その製造を信頼してインド企業に委託することができるようになっ た為です。また、インド製薬企業の研究開発コストは先進諸外国と比べて大変低いことから、 最近はインドが研究開発のアウトソーシング先として急成長しています。
インド企業にとって、アウトソーシングの受け入れは、技術移転を促進する ものであり、製薬技術の向上が期待できるなどメリットが大変大きいものです。積極的にア ウトソーシングを受け入れることにより、インドの医薬品産業はさらなる発展 の機会を得ることが出来ます。 物質特制度導入という知的財産権制度の強化によって、インドへの製造アウ トソーシングに関する一つの壁が取り除かれた形となったと言う訳です。

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インドにおける製造受託の現状イメージ画像⑯

世界における医薬品産業は産出量ベースで年間8~10%程度で成長すると言われています。他方で、医療費負担の増加が政府の財政を圧迫しているため、既存 の医薬品に対する価格引下げの必要が喫緊の課題となっています。
医薬品アウトソーシングにおいて最も大きなシェアを占めるのは製造委受託 であり、2000年において全世界の市場規模は260億ドル、2005年には365億ド ル規模に達しました。
従前の世界の製造受託ビジネスの中心はヨーロッパおよび北米でしたが、インド製薬企業も、コスト競争力と高い技術力という利点を活かし、製造受託 に参加することになったわけです。

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最後に

インドがTRIPS協定に基づいて物質特許制度を導入したことは、世界的なジ ェネリック医薬品市場におけるインド企業の優位性を衰弱させると心配されました。しかし他方で、物質特許が新薬に与える堅固な保護となり、外国企 業がインドを製造委託先として選択する機会が増える結果となりました。今後、イ ンドの製薬企業にとって製造受託は事業の中核となっていくことは間違いありません。結局はインドが世界の医療産業で大きな影響を保ち続けることが出来る結果になったと言えそうです。

 

 

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