国境なき医師団(MSF)によるキャンペーン

 

インドは先進国の不当な要請に屈しないでイメージ画像⑰

国境なき医師団のメッセージ

国境なき医師団(MSF)は同国のモディ首相が先進国よるインドに対して強めている法改正や政策の方向転換の提案に、屈しないよう提唱する世界規模のキャンペーンを展開しました。

国境なき医師団(MSF)は、 独立・中立・公平な立場で医療・人道援助活動を行う民間・非営利の国際団体で、1971年に設立し、1992年には日本事務局が発足しています。

MSFは世界各地に29事務局を設置しています。主な活動地はアフリカ・アジア・南米などの途上国です。

先進国による圧力である法改正、政策転換が施されれば、インドが安価なジェネリック医薬品を供給する能力は大きく衰退し、世界中の何百万人もの人びとが必要としている医薬品が、価格高騰によって入手困難になることが心配されるとのキャンペーンを展開しました。

キャンペーンは、日本の京都で開催した東アジア地域包括的経済連携(RCEP)貿易協定の第8回交渉会合から開始しました。この貿易協定には、医薬品を安価に入手することを困難にする不当な条項案が組み入れられていました。

 

国境なき医師団の理念

国境なき医師団HPより抜粋

国境なき医師団は苦境にある人びと、天災、人災、武力紛争の被災者に対し人種、宗教、信条、政治的な関わりを超えて差別することなく援助を提供する。

国境なき医師団は普遍的な「医の倫理」と人道援助の名の下に、中立性と不偏性を遵守し完全かつ妨げられることのない自由をもって任務を遂行する。

国境なき医師団のボランティアはその職業倫理を尊び、すべての政治的、経済的、宗教的権力から完全な独立性を保つ。

国境なき医師団のボランティアはその任務の危険を認識し国境なき医師団が提供できる以外には自らに対していかなる補償も求めない。

日本でもその活躍が度々ニュースで取り上げられていますので、ご存知の方が多いと思います。

安心安全の海外ジェネリック通販

 

インドは「途上国の生命の薬局」イメージ画像⑱

国境なき医師団の活動

国境なき医師団MSFは、世界各地で約20万人のHIV陽性者に治療プロジェクトを提供していますが、そこで使ってる薬の80%以上インド製のジェネリック薬とのことです。

結核やマラリアやHIV/エイズの病気の治療に不可欠なジェネリック医薬品は、その大半をインドから確保していると言われています。

また、先進国では高価な非感染性疾患の治療薬も、インドでは安い価格で製造販売しています。

国境なき医師団は「私たちの活動は、インド製の適正な市場価格の薬やワクチンに支えられています。病人にとって欠かすことができない薬が供給されなくなってしまう状況を、傍観するわけにはいきません。インドが『途上国の生命の薬局』であり続けられるかどうか、世界中が注目していますが、国境なき医師団MSFからも強い支持表明をインドに伝えたいと思います」と述べています。

インドの特許法は公衆衛生保護のため、特許の付与について先進国よりも大変厳しい条件を課しています。これがジェネリック薬の健全な市場競争を継続させ、その結果の1つとして、基礎的なHIVエイズ薬の販売価格が10年で99%程下がるということに繋がっています。

安心安全の海外ジェネリック通販

 

先進国が求める不当な条項案イメージ画像⑲

グローバル製薬企業との闘い

日本政府は東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉を通じて、国際貿易法で定められているインドの義務の範囲を超える、様々な不当な条項案の制定を目標にしていました。

その一つが製薬業界ではよく知られる「エバーグリーニング」と呼ばれるやり方でした。

エバーグリーニングが認められることになると、製薬会社が既存の新薬を改善改良することで半永久的に市場独占行なえる危惧がありました。

またこれ以外の不当な条項案として、先発薬の臨床データの使用を禁止する「データ独占権」がありました。

新規の医薬品の安全性と効能を証明するために規制当局への提出を要する治験データを保護すること、およびジェネリック開発企業が自社製品の製造に当たりこのデータに頼るのを防止する為の権利の事を言います。

このデータ独占権により、その薬がインド現行法では特許に値しない場合でも、製薬会社が長期に亘り、高い薬価を保持し、ジェネリック薬との競合を避け、市場の実質的な独占が可能となる危惧がありました。

EUおよび欧州自由貿易連合(EFTA)との交渉中の相互貿易協定にもインドの薬の入手手段を抑制する条項案が含まれていましたが、インド側の交渉団と市民団体の必死な抗議を受けることとなりました。

アメリカ政府は自国の製薬業界のロビー活動に強く要請され、インドに特許付与の基準を緩和するよう迫るだけでなく、「特許リンケージ」という規制システムの施行も強く提唱しているようです。

特許リンケージとは、ジェネリックを製造する企業がその製造承認を申請する際、政府の当局が、先発薬を開発した特許権を持つ企業に通知し、権利を侵害していないか確認することを義務付ける制度の事を言います。 特許権を持つ企業が異議申し立てをした場合、その係争中はジェネリック医薬品の製造承認が保留されることになるというわけです。

 

 

企業利益が人命に優先されるべきでない

負けないで欲しいインドジェネリック

国境なき医師団MSFのリーナ・メンガニー氏は「インドの市場適正価格の医薬品(ジェネリック医薬品)によって生命を繋ぐことが出来る世界の何百万人もの人びとにとって、インドの医薬品が答え続けられるよう、国境なき医師団MSFはこの15年間キャンペーン活動をしてきました。先進国製薬業界にインド製ジェネリック薬の市場参入が困難になり、その全てが失われることを強く懸念しています。同国のモディ首相は、先進国製薬企業の不当な圧力に屈せずに、人命を企業利益と引き換えにしないで欲しい」と強いメッセージを送りました。

グローバル製薬企業へのメッセージ(判決)

スイスに拠点を置く製薬会社のノバルティスは、インドでがん治療薬の特許申請を却下されたため、2006年にインド特許法の改定を求めて同国政府を告訴し、世界中がその動向を見守りました。

スイス製薬大手のノバルティスが抗がん剤「グリベック」の特許認定をインドで求めていた裁判で、2013年4月にインドの最高裁は「発明品としても特許としても認められない」として訴えを却下しました。

ノバルティスの抗がん剤「グリベック」は世界で年間10億ドル以上を売り上げる超大型の医薬品でしたが、インドの最高裁が「新薬ではない」としてノバルティスの訴えを退けたことで、今後はインド市場で圧倒的に強い後発医薬メーカーの生産が加速的に展開されることとなりました。

このインド最高裁の歴史に残る判決によりスイス製薬大手のノバルティスが敗訴したニュースは世界中を駆け巡りました。 これからもインドは「途上国の生命の薬局」 であり続けられるのか、世界中が見守っているのです。

 

お薬レスキュー119 ホームへ